尾瀬 大江山(1881.5m)、高八卦山(1684m)、皿伏山(1916.8m) 2010年5月21日

所要時間 4:57 沼山峠休憩所−−5:13 沼山峠−−5:39 大江山(休憩) 5:59−−6:26 送電線−−6:33 尾根に乗る−−6:55 高八卦山(休憩) 7:15−−7:56 送電線−−8:23 1840m鞍部−−8:42 大江湿原東端−−8:43 大江湿原(休憩) 8:53−−9:08 長蔵小屋−−9:27 尾瀬沼山荘−−9:50 富士見峠分岐(休憩) 10:07−−8:25 大清水平−−11:16 皿伏山(休憩) 11:31−−11:58 大清水平−−12:10 富士見峠分岐(休憩) 12:21−−12:40 尾瀬沼山荘−−12:59 長蔵小屋−−13:15 大江湿原(休憩) 13:27−−13:55 沼山峠−−14:03 沼山峠休憩所

概要
 御池〜沼山峠のバスの今シーズ開通初日に沼山峠から往復。残雪は予想以上に多く藪漕ぎほぼ皆無。高八掛山の登りでのみ少しだけ籔が出ていた。雪が多かったので高八掛山へは県境稜線に上がらず北側の標高1780m付近をトラバースした。尾瀬沼から皿伏山の夏道は完全に埋もれ適当に登ったが、だだっ広い地形で下山時に苦労した

ルート図。クリックで等倍表示


 もう5月も後半、残雪期も末期となり標高が高いところしか雪は期待できない時期だ。本来ならアルプス級の藪山に行きたいところだが、そのような山で未踏なのは北ア硫黄尾根くらいで、今の実力では赤岳がどうにかなるかギリギリの線だろう。その他の山だと雪を有効活用できるエリアはなかなか難しく、今週は雪がない山にしようかと悩んだが、まだ残雪が使える可能性のあるエリアが思い当たった。尾瀬沼周辺の山である。北部の大江山、高八卦山が未踏で、大江山は標高約1900m、高八卦山で約1700mほどであり、先週の釼ガ倉山の稜線の様子からして標高的には残雪があっても不思議ではない。さらに、地形がなだらかで北斜面にあることも雪が残る確率を高める要素だ。両山とも登山道はなく無雪期には笹か根曲がり竹の激藪が予想され、雪の残る時期に登るのが常套手段だろう。ただ、登山道からさほど離れていないので少々藪が出ていても行ける可能性はあり、今回のように残雪が微妙な時期でも大丈夫と考えた。なお、ネットで高八卦山を検索したところ引っかかったのはDJFが2010年大型連休直後に登った記録だけで、その時は雪が消えていたのは高八卦山の登りだけで残雪期を有効活用している。

 オプションとして皿伏山も目的地に入れた。ここは夏道があるので今回足を伸ばさなくてもいいのだが、せっかくここまで行くのならまとめて登った方がお得だろう。もちろん、その前の2つの山で藪で体力、気力を奪われた場合は後日に群馬側から挑戦してもいいだろう。

 大江山、高八卦山の位置を考えると、東京から遠くなるが入山は沼山峠が効率的だ。もう5月も後半でそろそろ除雪が終わってバスが運行開始しているかもしれないとネットで検索したが、5月中に運行が始まることは分かったが具体的な開始日の記述はなかった。まあ、除雪されていないくらいだったら残雪が豊富で車道を歩かなくても最短距離で歩けるのだろうから、バスの運行は念頭に置かずに行動することにした。もちろん、やっていればそれにこしたことはなく、始発は御池を4:30発だから利用価値が高い。まあ、現地に行ってみて確認すればいい。

 東北道を走って西那須野塩原ICで降りて一般道で桧枝岐村経由で御池へ。かっ飛ばしても相変わらず2時間ほどかかった。夜中の国道も対向車皆無であった。御池から先の国道は除雪作業中らしく路面には雪がないが入口に重機が置かれて車が入れないようになっていた。今はどこまで除雪が進んでいるのだろうか。沼山峠の車道入口のゲートより先は除雪してあり、監視小屋?の張り紙では明日(あと数10分で今日になるが)からバスが運行開始とのことで、沼山峠まで歩く手間が省けた。往復で\1000だが、もし車道を歩くと片道約10km、2時間強かかるのでそれが\500で済むのなら良心的だろう。

 御池の駐車場は\1000/1回であり、鳩待峠と違って何日置いても\1000である。広い駐車場は夏は賑わうのだろうが今は20台前後がポツリポツリと散在するだけだ。持ち主は山の中か仮眠中か。入口近くに車を置いて私も仮眠する。もし始発バスに乗るとすると睡眠時間は3時間くらいしか無いが、たいした行程ではないのでもっと遅い便でもOKだろう。何分間隔でバスが運行されるのか紙には書かれていなかったが、30分から1時間間隔程度だろう。

御池有料駐車場 今の時期はこれくらいしか車が無い

 目覚ましをかけたわけではないが4時過ぎに起床、まだ少々眠いがせっかく起きたので始発に乗ることにして飯は後回しにして出発準備。日帰りで朝飯をザックに入れて担いでいくなんて初めてかもしれない。今回は危険箇所は想定されないのでピッケルはやめてストックとし、念のため6本爪軽アイゼンをザックに入れた。樹林が深いだろうから日焼けの心配はしなくていいだろうと帽子は置いていくことに。財布は忘れない。

沼山峠休憩所 定期バス時刻表(御池間臨時バスを除く)
沼山峠休憩所のバス停 沼山峠登山口

 早朝で発券はまだでバスを降りるときに料金を支払ってくれとのことでバスに乗り込む。始発の客は私を含めて4人、みんな軽装で山菜取りか尾瀬沼周遊かだろう。まともなザックを背負っているのは私だけだ。バスの前席に陣取って風景を長めなら沼山峠へ。道路周辺は残雪だらけで、これなら少なくとも大江山の藪が出ていることは無いだろう。途中、カモシカの子供が雪原を走るのが見えた。終点の沼山峠休憩所周辺も残雪だらけで、出だしから夏道は見えずいい兆候だった。足元を整えて出発。

最初から残雪で無道不明 雪が削られてルートが分かるようになっていた

 沼山峠に来るのは初めてで夏道がどうついているのか知らないが、まあ、登りは適当に上に行けばいいが下りが心配で、念のために休憩所の緯度経度をGPSに登録しておく。先人の姿を追って雪の斜面に取り付くと、50mほど進んだところから先は夏道上の雪だけ僅かに削られて、ルートが分かるようになっていた。これなら地図を持たない観光客が迷うこともないだろう。ルートは尾根上ではなく斜面に付けられており、周囲は緩やかな傾斜地が広がり地図を持っていても現在地の把握は困難だ。それに一面のシラビソ樹林で遠望が利かず、周囲のマクロな地形からの現在位置把握も難しい。

沼山峠 沼山峠より尾根に取り付く
シラビソ樹林を緩やかに登る だだっ広すぎる尾根

 やがて登りが終わって左手のピークを巻いて緩やかな下りはじめ、除雪によるルート表示がここで終わった。標識等は無かったがここが沼山峠だろう。ということはここで一般ルートを外れて尾根上を行くわけで、左手の高まり目指してシラビソ樹林を適当に上がるとすぐに広い尾根に出た。あとは一番高い場所目指してこのまま尾根を行くだけだ。周囲は残雪が豊富で地面が見えるところは一切無いが、無雪期の藪のほどはどうだろうか。立木には目印等は無く雪上にはカモシカの足跡があるだけだ。緩やかに上がると徐々に尾根が広がって、登りはいいが下りでルート判断が難しくなるような地形となった。今は残雪期末期で日中でも雪がそこそこ締まって登山靴のままでもほとんど足跡は残らず、目印を残すか慎重にコンパスで方向を定めて歩かないととんでもないところに下ろされそうだった。

ダケカンバが混じると大江山は近い 大江山山頂

 やがてだだっ広い場所のまま傾斜が緩み、GPSの電源を入れると山頂はまだ先のようだ。こんな地形こそGPSが威力を発揮する。ほとんど傾斜が無い広い尾根を進むと、やがてシラビソにダケカンバが混じりだすと傾斜が復活して僅かながら登りになる。シラビソ樹林が深すぎて視界が利かず、先にピークがあるのか皆目見当がつかないのでGPSが無いとマジで苦労するだろう。ダケカンバの出現と同時に尾根が狭まって尾根らしくなり、その先を僅かに登ったところで傾斜がなくなり水平になり、GPSが大江山山頂を示した。人工物は皆無でDJFは目印を残さなかったらしい。木の根元の穴を見た感じでは積雪は1mほどで三角点の位置はわからないが、地形図を見ると一連の細長い尾根の一番手前にあるはずなので、今いる場所に間違いない。周囲は樹林に覆われて展望は無く、なんともパッとしない山頂であった。ここで遅い朝飯を食う。やや西風が強く、尾根東に下ったところで休んだ。

大江山付近から見た燧ヶ岳 ここから進路を左に切る

 飯を食い終わって高八卦山向けて出発。最初の関門はなだらかな地形の中で左に分岐する県境尾根を見分けられるかどうかだ。先ほどのダケカンバが出始める地点で左手奥まで水平な場所が広がるようになり、どうもここが分岐のようだ。ここで左に進路を変えて進んでいくと広い尾根は僅かながら下っていく。そして小鞍部登場で、このまま尾根を登れば県境に達して1912m峰経由で高八卦山の尾根分岐まで行くことになるが、ここで標高を上げてもどうせまた落とすのだったら尾根上を行くよりも北斜面を巻いた方が労力が少なくてすむ。地形図を見ると標高1780m付近で等高線の幅が広がってトラバースしやすい地形があることがわかり、ここに乗り移ればいいだろう。

鞍部から登りにかかり左を巻き始める 斜面をトラバース
湿原に下り水平移動 沢もまだ雪に埋もれる

 下部に平坦地が見えるまでは等高線に沿ってトラバース、斜面の傾斜はそれほど無いし雪はガチガチではないので登山靴のままでも問題なく歩けた。下部にシラビソ樹林が消えた雪原が現れた時点でそちらに乗り移る。たぶん雪が無い時期は湿地帯なのだろうが今は僅かに地面が出た1箇所を除いて真っ白な平原だ。あとはこのまま標高を落とさずに水平移動に移る。ほぼ同じような高さで平坦地が続き歩きやすい場所で助かった。沢の源頭よりも高い位置にいるようで、大きく凹んだ沢を乗り越えるような場所もなかった。DJFはもっと標高が落ちたところをトラバースしたようで沢のアップダウンがあったようなことが記録に書かれていた。

送電線登場 ようやく高八掛山が見えた
送電線下から見た会津駒 送電線下から見た大江山

 湿地帯が終わって小さな尾根を越えると送電線が登場、送電線下は樹林が刈り払われて一面の笹原だが今は大半が雪に埋もれている。日当たりがいいので周囲より雪解けが早いようだが、それでもまだ充分に藪が隠れていて助かった。ここで初めて視界が開け、高八卦山の姿が見えた。ここから見ると樹林に覆われて真っ黒けで雪があるように見えないが、よく見るとこの周囲の斜面も樹林で真っ黒で雪の存在はまったく見えない。ということは残雪は充分期待していいだろう。

斜面をトラバースしつつ下る 高八掛山に続く尾根に乗る
残雪が続く 樹林の隙間から高八掛山を望む

 送電線を超えると平坦地は無くなり斜面のトラバースだが、これは既に高八卦山の尾根の一部なので緩やかに下り始める。あまり上部をトラバースすると斜面が緩やか過ぎて尾根がわからない可能性があるためで、少し標高を落とした方が尾根が明瞭化するため通過の危険性を減らせる。でも本当に判別できるか心配しながら下っていくと、意外に明瞭に尾根上に出たことがわかった。帰りのために今回唯一の目印を立木に巻いたが、帰りにはここを通ることはなかった。やっぱ広い尾根で足跡が残らない状況で同じルートを辿るのは難しかったようだ。単純に尾根に従って下ればいいのかと思ったが、1730m付近では直進ではなく右にずれる必要があり、尾根が急にはっきりしなくなって地形図を見て誤りに気づき、右にトラバースして無事に尾根に乗る。その後は外すような紛らわしい地形は無く、左右の地形を確認しながら下っていく。どうも徐々に積雪が減っているようだがまだ藪を突っ切るような場面は登場しなかった。

最初の鞍部 僅かに登る
2つ目の鞍部 笹が出ていた

 1640m鞍部に到着して登りにかかる部分で初めて雪が切れて根曲がり竹が登場、しかしほんの僅かな距離だし、左に迂回すれば雪が続くようだった。僅かに登って再び僅かに下り、2つ目の鞍部が登場。本格的に登りになってからは劇的に雪が減ったが、どうもこの付近は藪がそれほど深くはなく、根曲がり竹が一面に繁茂しているのではなく島状に分布しており、それを避けて歩けば藪漕ぎの必要はなかった。もしかしたら下から上れば無雪期でもいけるかもしれない。

高八掛山へ登っていく 雪は少ない
この高まりが高八掛山 檜に覆われた高八掛山山頂

 大きな倒木は左を迂回して避けて登ると山頂ピークが登場、一段高くなった場所はシラビソではなくヒノキ(またはその仲間)の成木が密集して生えていた。DJFの写真でも見た記憶がある根元が腐りかけた檜があり、その付近が最高点だった。ここにもDJFのリボンは無く山頂標識も無かったが、少し南側の木の幹に古い赤ペイントが残っていたので人跡未踏というわけでもないらしい。まあ、年間に数人来るかどうかだろうが。ここも深い樹林で展望は全くなかった。

送電線下から見た大江山
往路で通った湿原を突っ切る 1840m鞍部

 往路と大体同じルートで県境尾根から続く1840m鞍部に到着、ここからは西に下る沢を降りて大江湿原を目指す。皿伏山に行くには尾瀬沼南岸を辿って富士見峠への道に入る必要があり、これが結構距離がある。でもまあ、1週間前の藤原山から釼ガ倉山よりは距離は短いだろうしアップダウンは格段に少ないだろうから、労力はそれほどでもないはずだ。ただ、ずっと雪の上を歩くことになるだろうから、雪質がいくら良くても日中は全く沈まないわけではないので、往復10kmも歩けばそれなりに疲れはするだろう。でも、帰りの時刻が最終バス(17時過ぎ)に間に合えさえすれば休憩三昧で歩けるので、今の時刻なら大丈夫だろう。

西側の谷を下る 大江湿原の端に到着
大江湿原 大江湿原を縦断する縦走路に合流

 沢沿いに下っていくと途中で流れが出始めたのでスノーブリッジで左岸側に移動、できるだけ左に進路を切って進んでいくが、尾根を乗り越えるまでのことはやらなかったのでほとんど沢に沿って下ったのと同じだっただろう。やがて樹林が切れて平坦部が出現、大江湿原の一角に出た。湿原中の雪原に人の姿が見え、夏道が間近らしい。しかし下ってきた沢はここまで来ると渡渉できない水量まで増えており、夏道は対岸にあるので乗り移ろうにも乗り移れない。まあ、この川もどこかで尾瀬沼に吸い込まれるはずなので、このまま南下すればいずれは尾瀬沼沿岸に出ることができるので気楽に進んでいくと突如として木道が出現、橋が架かって大江湿原中の夏道(木道)に合流できた。ここでしばし休憩。ここは樹林が無く開けた場所で日差しが強く、帽子を持ってこなかったことを後悔。

木道を南下 皿伏山がまだ遠い
長蔵小屋向かいにある尾瀬沼ビジターセンター 尾瀬沼山荘

 ここからしばらくは尾瀬沼に沿って時計回りに周回。木道は半分程度は出ていたが半分は雪の下で、人に踏まれてザクザクになった箇所もあって雪があるところは歩きにくい。しかも、木道直上はいいが左右にずれたところは木道下部の雪が消えて「落とし穴」になっており、そこを踏むと思いっきり穴にはまる。先行者の足跡ではまった箇所がわかるのは助かった。長蔵小屋、尾瀬沼山荘では休憩中のハイカーの姿が何人も見られた。尾瀬沼の対岸には雪を纏った燧ヶ岳。意外に雪が付いたままで、ミノブチ岳などはこの時期でも藪漕ぎしないで登れそうだ。山スキーもまだまだ楽しめるだろう。

尾瀬沼南岸からの展望
尾瀬沼南岸の夏道は埋もれていた 富士見峠方面分岐標識

 尾瀬沼山荘より先は踏跡が薄くなるが、どのみち雪の上を歩くので足跡があろうがなかろうが問題なし。入口には「尾瀬沼南岸道は傾斜がきついので北岸を通るように」との看板が出ていたが、まあ、これは一般ハイカー向けであり雪に慣れた人なら問題ないだろう。南岸は岸近くまで斜面が押し出して少し高巻きするようにルートが付けられており、木道が出ているのはごく僅かな距離だけだったが木の間隔で夏道はおよそ見当がついた。横に寝た木が邪魔して高巻きするような場所もあり、細かなアップダウンで少々嫌気がさしてきた頃に富士見峠分岐に到着。ここには標識が立っているが、柱だけで肝心の看板は取り外されていた。富士見峠方向には足跡は無く一面の残雪の斜面が広がる。ま、雪さえあれば夏道が無くても藪漕ぎしなくていいので問題ないが。ここでしばし休憩。単独男性が沼尻目指して歩いていった。

皿伏山向けて登る。トレース無し 間違えて東に向かっていた
大清水平 大清水平ど真ん中の標識

 休憩を終え、ここでメインザックをデポしてアタックザックで皿伏山を往復することにして出発。最初から尾根上ではなく斜面を登るので方向感覚に乏しく、ついつい藪屋の癖で高いところを目指して登っていったら東に向かっていた。地形図を見るとこの方向に緩やかな尾根が張り出しておりこれに乗ってしまったらしい。こいつは皿伏山とは逆方向でUターンして樹林で展望が無い平坦地を西に向かう。どこかで湿原に出るはずだが、もしNGでも最終兵器のGPSがあるのでどうしてもとなったら最後はそれを使えばいい。うまい具合に広い湿原の東端に出ることができ、真ん中にぽつんと標識が立っているのが見えて夏道の存在を確認できた。

  しかし、ここから先も一面の雪原で目印や標識は無く夏道の付き方が皆目わからないので、湿原より先は西側の斜面に適当に取り付いて登っていくことにした。そう、ここまで来れば適当に高いところを目指せば自動的に皿伏山山頂に到着できるのだ。ただし、帰りが心配であるが。尾根をまっすぐ下ってしまうと荷物をデポした地点よりだいぶ西側で尾瀬沼に出て遠回りしてしまう。だだっ広く樹林で遠望が利かない中でうまく下山できるだろうか。

尾根に乗る。やたらだだっ広い 広い尾根が続き尾根らしくない

 尾根に乗ると予想通りだだっ広い尾根で中心部がどこなのか全くわからない。ここも一面の残雪で夏道ルートに乗っているのか外しているのか全くわからず、とにかく高いところを目指して歩いていく。いつの間にか左手から目印や木の幹に吹き付けられた古い赤ペイントが現れるようになり、夏道が合流したらしい。しかし地形的には今までと変わりがない、シラビソに覆われただだっ広くなだらかな尾根が続いていた。これを黙々と歩くだけだ。

山頂までずっと広い尾根 皿伏山山頂。シラビソ樹林で展望なし

 なだらかな山容なので最高点がわかるか不安だったが、現場に行ってみると意外にも明瞭な最高点で、その先が下りに変わるのが簡単にわかった。それに半分埋もれた山頂標識も立っており、間違いなく皿伏山山頂到着。ここも深いシラビソ樹林で展望皆無。樹林の隙間で日当たりがいい場所に座って休憩した。アップダウンはそれほどでもなかったが、これだけ長い距離をずっと雪の上を歩いてきたためいいかげん疲れた。尾瀬沼までの下りはいいが、沼の岸に沿っての水平移動がこれまた疲れそうだ。最後は標高差約120mの登りが待っている。

古い目印 無事に大清水平に出られた

 危惧したとおり、皿伏山からの下りは大いに迷った。あまりに尾根が広くて現在位置の把握が難しく、遠くの景色も見えないので近場の地形だけで現在地を判断する必要があり、読図には苦労した。頻繁に地形図を引っ張り出しては地形を読むが確信が持てない。特に尾根を外れて東にずれ始めるポイントが難しく、適当に尾根の右側をトラバース気味に巻いて傾斜が出てくるまで水平に進み、下部に広い湿原が見えたときには心底ほっとした。この間はルートファインディングしていたというより、ただ単に徘徊していたと言っていいだろう。素直に目印を追っかけた方がよかったと思う。あの感じではたぶんずっと続いていると思う。

大清水平から先もルート不明 荷物デポ地到着

 湿原を横切ってからも夏道不明で目印らしき物も見当たらず、方向を定めて適当に進んでいく。途中、東にある小尾根を乗り越える必要があるのは頭に入っていたので、下り始めてからは右手の高まりを超えて次の谷を下っていくと尾瀬沼が見え始めた。荷物をデポした箇所は小さな半島のように岸に突き出した場所であり、そこにピタリ出たかどうかは樹林で遠望が利かないため最後まで判断できなかったが、左手に湾のようにカーブした岸が見えて正解を確信、やがて往路の自分の足跡に合流し、無事に荷物にたどり着いた。ここで残った飯と水を平らげて軽量化する。

沼の岸を行くハイカー 尾瀬沼は河川なのだろうか・・・
対岸には景鶴山が見えた 尾瀬沼ビジターセンター
大江湿原南端から見た燧ヶ岳

 さあ、あとはバス停のある沼山峠休憩所まで戻るだけ、といっても結構距離がある。2時間弱かかるだろうか。お昼の時間帯で沼山峠方面から入山したのだろうか、「対向者」が結構いる。軽装の人も見られここが観光地だと感じさせる光景だった。たぶん尾瀬ヶ原はもっと賑わっているだろうな。鳩待峠は今週からマイカー規制かな。そうでもしないと駐車場は満杯になるだろうけど。

木道を北上。雪が無い区間は歩きやすい 小淵沢田代分岐で休憩
なおも木道を北上 ハイカー数カウンターはまだ設置されず

 大江湿原の休憩所で最後の休憩。ベンチがあったのでひっくり返って少しだけ昼寝。相変わらず日当たりが良すぎて暑いくらいだったが、足を伸ばして横になれたおかげで足の疲労感はかなり軽減できた。休憩中に単独行者が2名、沼山峠方面に上がっていった。バスの時刻もあるのでこちらも出発。まあ、分かっているのは会津田島行きの定期バスのダイヤであり、御池間の臨時バスの時刻表は知らないけど。あと1時間ほどで会津田島行きのバスが出るが、1時間もあれば余裕で到着できるだろうと踏んでいた。

登りにかかる 南斜面でも登山道は雪の下
沼山峠 沼山峠休憩所到着

 雪に隠れた木道で湿原を横断、やがて登りにかかる。南斜面なので雪が消えているかと思いきや、道形は明瞭に分かるがまだまだ雪に埋もれていた。初めて歩くルートなので淡々と足跡を追ったが、ジグザグに上がるところなどは雪を利用してショートカットすればよかったな。登りの途中でお疲れ気味の男性を追い越した。沼山峠では往路でルートを外れて大江山に向かった私の足跡は既に消えていた。この日差しでは溶けてしまうよな。下りにかかり普通なら滑り降りたいところだが傾斜がなだらかでとても滑りそうになく、雪を削ったルート上を素直に歩いて休憩所に戻った。

 

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